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目上の人に使ってはいけない言葉って?上司に「ご苦労様」は失礼!?
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メールや電話などのやりとりが増え、ふとした時に自分の言葉遣いが正しいのか心配になることも多いのではないでしょうか?そんな悩めるビジネスパーソンのために、国語講師の吉田裕子さんから、ビジネスシーンで知っておきたい敬語の使い方を解説してもらいます! 今回の言葉遣いのお悩みは、上司に対する労いの言葉です。
【質問】上司相手に「ご苦労様です」は使っちゃダメですか?
先日、プレゼンを終えた上司に「ご苦労様です」と声をかけたら、「それは目上に使う言葉ではない」と注意されました。「ご苦労様」は⽬上の人に使ってはいけないのでしょうか?
【回答】目上の人には「お疲れ様です」がベター
「ご苦労様」は今日、目下の人に使うのが原則です。目上の人には使わない方が良いでしょう。
実際、『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)でも〈「ご苦労さま」の形で、目下の者の労をねぎらう言葉として用いられる〉とされています。
尊敬語の「ご」、敬意を示す「様」、丁寧語の「です」が付いているので、敬語の仕組みとしては目上に使ってもよさそうな感じがします。しかし「ご苦労」という語が、上の人が下の人を「ご苦労!」とねぎらうような印象を与え、上から目線を感じさせてしまいます。
言葉には、使用例が積み重なる中で「語感」が生まれます。上下関係の強い組織で「ご苦労!」が繰り返し使われてきたことで、「ご苦労様」は目下をいたわる語感を持つ表現になったのです。そもそも、ねぎらったりいたわったりすること自体、目上の側からなされることが多いのも、目上→目下のイメージになりやすい原因です。
今回のように、目上の人をねぎらう気持ちを伝えたい場面では、「お疲れ様です」を用いましょう。
言語的ルールとしては、「ご苦労様でした」と「お疲れ様でした」にはほぼ差はないはずなのですが、慣用的に、「お疲れ様でした」は目上の人相手でも許容され、幅広く挨拶として使われています。
「お疲れ様でした」とする以外にも、文脈に応じて、「ありがとうございます」というお礼や、「さすがでした」という褒め言葉に置き換える手もあります。
「頑張って」も要注意ワード!
また、目上の人に使うのは避けたほうがいい表現として、「頑張ってください」も覚えておきましょう。というのも、「頑張れ」は「努力しろ」という意味であり、「現段階ではあまり努力をしていないのですから、今後、努力してください」という趣旨に聞こえかねないからです。
そもそも論として、目上の人に対し、目下の側が取るべき行動を決め、指図するようなこと自体が失礼に当たります。「異動先でも頑張ってください」などとは言わず、「異動先でもいっそうのご活躍をお祈りしております」とするのです。
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吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
大学受験塾の国語講師。カルチャースクールや企業研修にも登壇し、日本語や文章術について指導している。著書に『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)、『10分読書』(集英社)などがある。東京大学教養学部卒業。
最終更新日(2021.08.12)
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